自転車旅(2) 浜松駅〜静岡駅
軽い足取り
自転車旅2日目。
8時ごろに起き、9時には宿を出た。
肩こりがひどく、首回りも重い。おそらく重たいバックパックを背負って自転車を漕いでいることによるものだろう。
尻の痛みも慢性化していたが、5分ほど自転車を漕ぐと、それもすぐに慣れた。
昨日はあれほど苦痛だった自転車を漕ぐ動作も、1日経つとほとんど慣れてきて、少しずつであるが楽しくなってきた。
なんせ普通のママチャリとは速度が違う。車やバイクには到底かなわないスピードであるが、風を切り進む道は爽快だった。
特に平坦な道は進みやすい。
愛知県を超えて静岡に入ると、普段あまり来ない県にいるという実感が湧き、それもあって順調に進んでいった。
ちょくちょく坂道はあるが、それもこの頃には、ずっと坂道が続くわけではなく、下り坂もあるだろうという考えに変わり坂道を黙々と漕ぐことができた。
浜松市を出ると、割と目まぐるしく市が変わる。昨日の岡崎市、幸田町、蒲郡市、豊橋市はやけに長く感じたが、今日の磐田市、袋井市、掛川市はどんどん移り変わり、気分が良い。
ただ、市は変わっても、車のナンバーがずっと浜松なのは、全然進んでいない気がして嫌だった。
昼前には掛川市に入り12時前には、さわやか掛川インター店に到着した。
人生初めてのさわやかを堪能し、すぐに店を出る。すぐに、といっても店内で1時間ほど待ったので、出発は13時になった。
ここから先はどうやら峠を越えるらしい。今回の旅でおそらく箱根までは到達しなさそうなので、かなり厳しい峠越えになるだろう。
島田市に入ってしばらくした頃だっただろうか。峠は現れた。
初めは緩めの坂道。これくらいなら大丈夫だろうと思っていたが、今まではカーブを曲がった先に下り坂があったところに、また坂道がある。
その先のカーブを曲がると更にきつい坂道。
さすがに心が折られそうになり、歩くのと同じくらいのスピードで登っていく。
頭の中では、しんどい思いから逃げたい自分が出てきて、どうして坂道を登っているのかわからなくなりそうになった。
しばらく進んだところに、トンネルが現れた。
その名も小夜の中山トンネル。
なんとオシャレな名前のトンネルだろう。
近くに夜泣石という石もあるようで、なんだか超自然的な感じがした。
すると今度はこの辺りから、死の恐怖を感じ始める。
横を通り過ぎていくトラックがどれもぶっ飛ばしているのである。巻き込まれたらおそらく即死だろう。
更にカーブの先が見にくいので、きっとトラックの運転台からみた僕は、カーブから突然ちっぽけな鹿が出てくるみたいな感じだろう。
去年の9月ごろ、滋賀県の湖北で鹿を轢いてしまったバチがここで当たるのか、、、とビクビクしていた。
そうしてしばらくいくと、峠の途中で分岐があった。そこで道案内を見ると、その分岐を行っても、山を越えれるみたいだった。
ついに峠とおさらばと峠を最後まで登らず右にそれて、一気に坂を下った。しかしそこからが苦難の始まりだった。
下った先にあったのは、一面の茶畑。
更にどうやら峠を途中で下ったせいで、再び山を越える必要があるみたい。
1時間ほど、茶畑をうろうろし、茶畑の農道を超えた先にやっと大井川を見つけることができた。
結局、最後まで峠を登るほうが楽だったという。やらなければいけないことは、最初にやった方が良いという、人生経験をさせてもらった気がする。
そこから先は早かった。藤枝市に入り、また暫く漕ぐと焼津に着いた。これが16時半頃。
そこから静岡市へは、また山を越えなければいけないが、坂道ではあるものの、カーブの多い山道でもなく、19時過ぎくらいには静岡駅に到着することができた。
明日は最終日
到着すると、そのまま静岡駅近くのホテルに泊まった。その日は夜をコンビニで済ませ、明日に備えた。
今日1日、本当に楽しく自転車を漕ぐことができた。今まで自転車は疲れるだけで楽しくないと考えていた考えは大きく変わった。
明後日から奄美大島へ行く関係で、旅は明日で終了になる。まだ1日残っているが、素敵な旅になった。
本日の走行距離は85キロ。明日は昼過ぎの電車で青春18切符を使い帰ろうと思うので、清水駅周辺を観光して帰ろうと思う。